御景雑記

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「アウトレイジ 最終章」感想

観賞日:2017年10月14日


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久方振りの映画感想記事、今回は北野武監督の最新作「アウトレイジ 最終章」です。

実は劇場で北野武監督の映画を見るのはこれが初めてで、2年前に公開された前作「龍三と七人の子分たち」については気にはしていたのですが機会を逃して見れなかったというオチがあります(しかもこの作品が北野武監督だと知ったのはアウトレイジ最終章の情報が解禁されてからの話とか言えない)。

 

そんな中、Twitterで大暴れする公式アカウント様になんと私のアカウントがフォローされてしまうという「事件」が発生し、これは意地でも劇場に足を運び挨拶に行かねばならないと思い立ち、見に行った次第でございます。これを怠ったら指詰めですから…(この辺りは誇張あり)

 

さて、前置きが長くなりましたが肝心の内容については例によってネタバレを抑えながら。

 

実のところ過去2作の「アウトレイジ」「アウトレイジ ビヨンド」が公開された当時は年齢制限に満たなかったというのと、まだ穢れも闇もしらない無垢な学生だったので興味が無くリアルタイムでの鑑賞をしておらず、今回の最終章公開に伴って多少の予習はしたのですがまだ全てをしっかり見ているわけではありません。予習の中でいつもTwitterの方でお世話になっているリク氏(HRC&nismo系ハードボイルド・リク (@HARDBOILED_RIKU) | Twitter)に「今おすすめの北野映画は?」と聞いてみたのですが、その際にその過去2作と「ソナチネ」を薦められました。

 

何故20年以上も前に公開された作品である「ソナチネ」の名前が出てくるの?と思う方もいるかもしれませんが、実はこの「アウトレイジ 最終章」の作中に漂う空気が、次第にこの「ソナチネ」に流れている「渇いた空気」に近づいていくのです。しかし「ソナチネ」にあった「いつかこの沖縄の空の下で、あの何も言わない老け顔のヒットマンの放った弾か流れ弾に当って自分まで死ぬんじゃないか」というまで狂気的なものではなく、「ただ淡々と、目の前で起こっている出来事をカメラの中に収め続けていないと、自分が壊れそうになる」という感覚です。「アウトレイジ」といえば過去2作は惨たらしいまでのバイオレンス描写、「バカヤロー」「コノヤロー」に代表される舌戦という印象が持たれている中で、この作品ではそれらの描写は鳴りを潜めたかに思わせて、突然バッと顔を出す。時折、あの「キタノブルー」を思わせるシーンも点在する。つまりは「そういうこと」なのです。

 

この雑感を簡潔にまとめますと、この作品の醍醐味は英語タイトルの「OUTRAGE CODA」が意味する通り、「終わりに向かって淡々と進んでいく」ことにあると感じています。かつての北野映画にあった芸術性と、現代の北野映画が持つエンターテイメント性が合体した一つの完成形をここに示していると私は見ました。強いて言うならば、この作品は花菱会若頭補佐である中田を演じた塩見三省さんがパンフレットに寄せたコメントである「男のレクイエム」という言葉が一番相応しい言葉だと思いました。